巡りあるき

うたひながら夜道を帰るからつぽのひだりの胸に風がはいつた

人はさみしい

大小の宝篋印塔ならびゐて目病み野猫と供花のにぎわひ    

                

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50代初めに癌が見つかりました。ここでいったんすべてを棚おろし。

入院、手術、抗癌剤治療の緊急期を過ぎ、自宅で療養するようになってから、空っぽになったその棚に、今まで全く関心のなかったジャンルの本が並んで行きました。医療、代替療法、食事療法、整体、気功、自然治癒力、場…

子供の頃から病気知らずで健康だけが取柄、病院に縁がないことを自慢にしていたのに、いきなりの、癌。「一度くらい病院に入院してみたいものだ。」と嘯いていた私が、ほぼ5か月の長期入院生活。ガラガラポンです。バチが当たったというかご褒美というか…

  さっぱりしてしまった棚の、少し前まで大切なものがあった場所、その場所がふっと息づいたのは手術・抗がん剤治療をした最初の病院を退院した後、心身のケアのために通うことになった帯津三敬病院で、院長の講話を聞いた時でした。院長の帯津医師は「人は寂しい。ここに立つ。ここに根っこを張ってしっかり立っていれば、すべてが時めき、すべてがありがたい。」先生はホワイトボードに『人は寂しい』と大きく書きました。(ん!なんかどこかで…)と思いました。そしてすぐに「自然は寂しい…」というあの言葉を思い出しました。なんだ人もさみしいの?そんなはず無いでしょ、人は温かいはずなのに…、とすぐにはのみ込めませんでした。でも何か、大きなつながりを感じて心に残り、しばらく反芻しました  

 結局、その時は何が気になるのかわからないまま、でも妙にほっとして何かがほぐれ、最初の病院を退院後手探りで飛び込んだ世界に小さな手ごたえを感じました

「人はさみしい…」は未消化のまま残りましたが、その頃ちょうどごく親しい友人以外との交流を絶っていた私にとって、力をもらえる言葉でした。

 

「自然は寂しい。しかし人の手が加わると温かくなる。その温かなものを求めて歩いてみよう。」                                                                                        宮本常           

 

 

                                   

 

 

 

 

 

 

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