巡りあるき

うたひながら夜道を帰るからつぽのひだりの胸に風がはいつた

玄侑宗久さんのお寺で座禅をしました。

    暮れかかる野良にずぼりと滝桜 

 岩盤浴でがっつり汗を流し、早めの夕食を済ませて福聚寺に向かう。

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    三春の猫            吾唯足知

  f:id:miyasakihiro:20130425163838j:plain 立ち直ったお地蔵さん(福聚寺)

    

坂道を下って上る。坂を上りきる頃はすっかり夕闇に巻かれた。見上げると、右手にみごとな枝垂桜がライトアップされて華やいでいる。しかも、お寺の背戸のお山の上は、まんまるのお月様~〇~出来過ぎ~♪

清々しく調えられた本堂に入る。まず、ご本尊にお参り。

ご本尊の前、天蓋の下はほぼ正方形に、磨き上げた板敷の空間。その空間を囲むようにふかふかのお座布団と経本が置かれている。

開始直前の入場だったので、左右の席は満席、空いていたのは正面だけ…。順番に座って、ラストの私がご本尊の真ん前…^_^;

  

半跏趺坐腕の重みと吊る頭(かうべ)六尺先と視野の縁を観よ

  いき細くながくはきます吐ききればおのづ入り来る息にまかせよ

   鼻が詰まつていきがくるしい(座禅だろ!)さうは言つても息がくるしい

   調はぬ吾がいきなれど福聚寺のたてよこのつよきちからたふとし

   どつどつど どつどつどどつ どつどつど 玄侑和尚はどつどと立ち去る

 

終わって、茶菓をいただきながらお話を聞く。

まず、咲き終わった桜にちなんで《落花流水

「落花…人との出会い、流れてみないとわからない。これが座禅と思ってよい」ときっちり。そして、4月28日に開かれる福聚寺の一大イベント「大般若会」の事や、近日上梓される『光の山』等についての楽しいお話。

なかで、「激しい流れの川を向こう岸に渡ろうとして、流れをものともせず、一心に渡り切ろうとすれば、流されつつも45度の角度で辿り着く。でも、初めから45度を狙って45度の力で渡ろうとすると流されてしまう。」というお話が興味深かった。流れを利用して…なんて考えたりすると流されちゃうよという事なのかな…。

以前、民族文化映像研究所姫田忠義氏が「時流というものはもう、さーーーっと行きますから…。」とその怖さについてお話しされていた事など…思い出しながら、≪流れ≫って、無視することなんてできないし…。宿題…かな^_^;

お話の終るころ、玄侑さんが笑いながら呟いた。「昨年ヨット(クルージング?)で海に出て、大シケに会い、波を乗り切ろうと波に垂直に向かって行ったら転覆してしまった」と… … … ん!… ?

 

帰り際、用意してきた玄侑宗久氏の『福島に生きる』にサインしていただく。

頂いたサインを見てハッとした。新書の扉のページに90度の↘↗ライン、その転換点に“福”の+が強い筆圧で記されている。

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添えられた、オバQを模した愉快な宗久サインと合わせて、玄侑氏のゆるぎない決意を受け取ったような気がしました。