乗鞍のお花畑は龍が育てているのかも~
二泊三日で乗鞍岳に行ってきました。乗鞍岳は3000メートル級の高山ですが、山頂の畳平まで岐阜県側のスカイライン、長野県側のエコーラインが通じ、シャトルバスでの楽々登山!(^^)!
という訳でこれが3度目の乗鞍岳。
いや~いつ行ってもいいですね~
いつ行っても、その時々の高山植物が咲いていて、ハズレがありません。
今回も、白山イチゲ・岩カガミ・ミヤマキンポウゲ・ミヤマキンバイ・黒百合・黒菅・コマクサ・兎菊・ショウジョウバカマ・四つ葉シオガマ等々…の群落に出会うことができました。
白山イチゲ・黒百合・深山キンポウゲの群落
ガイドさんによれば、お花畑の拡がる畳平はひと月ちょっと前まで一面の雪に埋まっていたというのですから驚きです。
昨年は雪が多く、今年は雪がなかなか消えなかったそうです。なので信濃側からのシャトルバスも畳平の手前肩の小屋口で、折り返し運転、乗鞍名物の大雪渓も落石と雪崩の危険で立ち入り禁止となっていました。
ちなみに、3回の乗鞍岳、いずれも7月中旬~下旬でしたが、その度に、それぞれのサプライズ!そしてその度に、いつもの花や初めて見る花に出会う事ができました。
1回目 濃い霧と雨の中、雷鳥一家に出会う。
2回目 ブロッケン現象!!!
3回目 朝日と共に昇る龍と出会う。
7月17日AM4:00 空にはほとんど雲が無いので、御来光を期待してゆっくり大黒岳、富士見岳の稜線に向かう。ところが、暫くすると、前回朝日を拝したところと違う方向が妙に明るい。なので、友人の体調と相談しながら、少しずつ富士見岳に登ってみることにしました。登るにつれ遠くの山々がくっきりと見えて来る。笠が岳、穂高、焼岳、誰にもわかる槍ヶ岳、あとはよく解らないアルプスの山々…。
4:50そろそろ朝日が顔を出す時間…、なのに、朝日の代わりに畳平の向こうの飛騨側から、黒い霧が湧き上がって、恵比寿岳、魔王岳を舐めるように進み、信濃側に流れ込んで行く。
友人が「龍、龍だよこれは、凄いね~」と叫ぶ。確かに、所々垂れ込める黒雲は龍の手のようだ。吹きつける飛騨からの強い風に吹かれながら、暫く声も無く龍を見ていた。
「もう降りようか」と、ご来光はあきらめ、ゆっくり富士見岳を下りはじめた。すると、友が「見て見て!コマクサがここにもあそこにもある!」と叫んでる。
登るときは、強い風と未明の薄明に、足元ばかり注意して、花を見ているゆとりも、そこにコマクサがあるかもしれないという意識もなかった。
雲の向こうに上った朝日が、足元のコマクサやミヤマキンバイを私たちに見せてくれたのでしょう。それとも龍の置き土産?
コマクサは発芽から花が咲くまで3年はかかるそうですが、たった一つ花をつけた小さな赤ちゃん株から、10~20年以上ここにずっと棲み続けているような立派な株もありました。
コマクサ
夢中で写真を撮りながら、ふと見上げると、大黒岳の右に太陽がチラッと顔を出している!しかも周りを彩雲に囲まれて…。これって龍の玉…?
イヤ、龍の眼にも見える…見られてる~^^;
それにしても、石ころだらけでいつも強い風が吹き付け、ほとんど水分の無いあんなガレ地に、どうしてコマクサは咲くのだろう…。植物にとって最悪の場所だと思えるような所なのに…種はどうやってそこにとどまり、どのように水分・養分を取り入れているのだろう…。葉や花の形、根ののび方など…詳しく見てゆけば少しは分る事なのかも知れませんが、改めて、植物というのは静かで不思議で凄いものだな~と思います。
畳平の山岳ガイドさんによれば、植物の中でも特に、高山植物は亜種ができやすく、同じ種の植物でも、生えている場所によって微妙に変化することが多いということでした。
岩鏡、青の栂桜、兎菊、深山防風、苔などが見事に棲み分けている岩
いつみても、同じ姿のように見える花や山の様子も、
毎日少しずつ変化しているのかもしれませんね~ 龍に守られながら…