まだ咲かぬ花咲き終へて実をむすぶ花今年は影も見せぬ花 乗鞍畳平
お花畑
俯いて葉影に顔を埋めてゐる黒百合は蝶に気づかぬだらう
きのふとはまた少しちがふ花ひらくきのふとはやはりちがふけふなり
峰蘇芳
白山一花・黄花の駒の爪…
黒百合
黒百合は6年から8年かけてようやく花を咲かせますが、最初の花は一輪のみで雌蕊のない雄花。10年以上たって丈夫な株に成長してから、ようやく2輪、花をつけ、片方の花に雌蕊がつくそうです。
黒百合…という名前の通り、とても魅力的な花です、でも香りはかなり独特!低温と強風の高山地帯で生育しているため、飛行能力に優れた蝿に受粉を託し、蝿の好む匂いを放出しているのだそうです。
黒百合の、魅惑的な香りに引き寄せられて訪ねるのは毛深黒蝿さん…。身に着けたフカフカの毛が低温に耐え、花粉をたっぷり運んでくれるのかな~
初めて黒百合を観たのは20年ほど前、御嶽山でした。山頂近くの登山道の上斜面に咲いていました。はじめはそれが百合とは気づかず「何だろう?」と近寄ってみて、「ひょっとしてこれがあの黒百合!?」と叫び、みんなで確認し合った時は本当にうれしかったな-!(^^)!
なにしろ、♪黒百合は恋の花~でしたから
苔桃:秋、真っ赤な実が生る
白山防風:甘味あり熊の大好物!
深山金鳳花、奥は蛍藺
兎菊:小さなひまわり!
駒草
氷河時代の生き残りと言われている高山蝶、ウスバ黄蝶は、幼虫時代、駒草の葉や花しか食べないという。でも成蝶になってからは、まれにしか駒草の蜜を吸いに訪れない。
北海道以外の高山にはウスバキチョウは生息していないので、駒草はマルハナバチや自家受粉で子孫を残すという。あの強風の吹抜けるガレ地では、成蝶は飛びにくいだろうし…。
コマクサは高山植物の中でも、何も生育していない厳しい環境の土地に最初に根づく「先駆植物」といわれている。 乾燥した軽い火山弾のような礫が敷き詰められているこの場所も、コマクサが根づいて、根を張るようになると、それに支えられて、長い年月を経て「栄養分」が豊かになる。すると、コマクサよりも大型の草が生えてくるのである。そしてその大型の草の「大きな葉陰」のために、コマクサは生きられなくなるのだ。このような過酷な運命を背負っているものが「先駆植物」なのである。この場所は、まさに「先駆植物」であるコマクサにぴったりの、痩せて貧栄養の「土地」だったのだ。
・・・本来、弱い植物であるコマクサは、いろいろな方法・仕組みを身につけて、他種の植物が生きられない場所で「生きる強さ」を獲得してきたのである。これを「弱さゆえの強靭」と呼ぶ人さえいるのだ。コマクサは荒れ果てた砂礫の地面にへばりつくように咲いていて本当に弱々しく見える。実際低温には弱いのである。高山植物が生えている場所は年間平均気温が平地に比べてかなり低く、逆に言えば、そういう条件でなければ高山植物は育たないわけだが、重要なのは「夏の生育期」に気温が低いということであって、厳冬期に気温や地温が低すぎるということではない。この場所も早い年で9月の下旬に初冠雪を迎える。低地に比べると、秋から一足飛びで冬を迎えることになる。つまり、いきなり雪に覆われてしまうため、低温の厳しい外気にさらされることなく、自然の温室に守られると言う訳なんです。しかも、周りは雪だから、湿度100%の安定した環境が保たれて休眠で きるのである。 岩木山を考える会 http://www.iwakisan.jp/より
駒草はケシ科の植物で、薬草としても珍重されていたので、ここ乗鞍の駒草も採り尽くされ、一時絶滅状態になった時があったそうですが、ようやくここまで復活したのだそうです。
駒草に限らず、植物には見るだけ、そこにあるだけで人を癒す力があると思いますけどね~^^;
這松の下の三葉黄蓮も漢方薬
ホシガラスと這松
這松・四葉塩竃・稚児車
そこだけが暮れ残るやうだ雪渓の光は少しづづ溶けてゐる