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巡りあるき

うたひながら夜道を帰るからつぽのひだりの胸に風がはいつた

「風立ちぬ」を観てきました

この夏の最高気温更新日、午後ぽっかり時間ができた

そうだ、『風立ちぬ』を観に行こう!

ジブリの作品を映画館で見るのは『ハウルの動く城』以来。ポニョは観そびれて、それっきり…^^;

ハウルの動く城』は面白かったなあ…あの一本おさげがなんかウフフで、いきなり少女になったり、お婆ちゃんになったりする主人公に大いに共感!

ちなみに私が一番好きなジブリの場面は『もののけ姫』のシシ神様(ダイダラボッチ)が、山奥の泉の中をゆっくり歩くと、足元から木の芽や草や花が湧き上がる…あの場面。

…ざわっ

さて、『風立ちぬ』

観終わって…何となくザワザワして、言葉が浮かばない、

印象に残った場面がある。

主人公の二郎が“シベリア”を買いに寄った店の、明かりのそばに姉弟が立っている。一旦通り過ぎた二郎は、戻って今買った洋菓子の“シベリア”をあげようとする。思わず手を伸ばそうとした弟は、姉に制され手を引っ込める。姉弟は路地の暗がりに消える。

以後この映画の時代の巷の生活者は、背景として描かれることはあっても、画面の前面に現れることはない。(あ、関東大震災の場面では、二郎達も、その生活者の中の一人でした<(_ _)>)

ドイツや日本の設計者達による飛行機の、目も眩むような質感の描写や、軽井沢の林の見事な木洩れ日の表現に驚きながら、私はぼんやり「あの場面…どこかで観たなあ…」と考えていた。

そうだ、トトロ。お父さんをバス停まで迎えに行ったメイとサツキがトトロに初めて遭ったあの場面。メイをおんぶしながら大トトロに傘をあげたサツキは、猫バスに乗り込むトトロから木の葉の包みをもらう。そういえば、あの時は素直に包みを受け取ったなあ…、なのに美味しそうな“シベリア”は受け取らなかった。

<受けとる>といえば…

映画の中に、<風?に飛ばされたものを、何者かがナイスキャッチする>という場面が、繰り返し出て来る。

帽子が、パラソルが、ヴァレリーの詩の一節が、紙飛行機が、ドイツの歌が、夢が…

飛ばされるたび、受け止めるたびにドキドキハラハラ…ナイスキャッチ!(^O^)!

二郎の設計した試作機がついに完成し、試験飛行が成功しようとするその瞬間、エンジンの音が消え、二郎は試作機と反対の、山の彼方をじっと見つめ、耳を澄ます。

 

 ……………。

 

堀越二郎によって、奇跡的な飛行能力を実現した九試単座戦闘機は、後の零式艦上戦闘機の開発につながり、太平洋戦争末期、零戦とよばれたそれは、特別攻撃隊の若い兵士を乗せて飛び立ち、一機も帰らなかった。

飛び立った二郎の夢は、誰に受け止められたのだろう…。 

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「あなた 生きて」

  

ざわっ

風が立つ。

 

 風は立ち 風は止み

風は吹き続き  風は通り過ぎて行き…

 

 君は死に君は死にわれは生きたりき三十九年まぼろしか否か

 うたふ何もなき日常と侮るな何もなきあしたゆふべこそうた

 往きに轢きし花びらの上のあたらしき花びらをまた轢きて戻りく

                          竹山広全歌集より                                                                   サツキとめい

赤ちゃんをおぶった姉と手をつなぐ弟

菜穂子と二郎… 

同じ事 なのかも しれないな…。