巡りあるき

うたひながら夜道を帰るからつぽのひだりの胸に風がはいつた

汲むー越えてゆくものー

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 ・・・

 頼りない生牡蠣のような感受性

 それらを鍛える必要は少しもなかったのだな

 年老いても咲きたての薔薇  柔らかく

 外にむかってひらかれるのこそ難しい

 あらゆる仕事

 すべてのいい仕事の核には

 震える弱いアンテナが隠されている きっと……

 わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりまし

 た

 たちかえり

 今もときどきその意味を

 ひっそり汲むことがあるのです

           「汲む」ーy・yにー茨木のり子詩集より

 

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