そこにあるもの― 両神山へ
そこで満ちている
そこで待っている
そこで待ちつづけている
そこにあるもの―
あるとき
溢れ
こぼれ落ちる
揺れやまず
揺れやまず
揺れやまず
揺れやまず
倒木の小枝の無数の蜘蛛の巣の
無数の雫のつらなりの
待つてゐる
待ってゐる
待ってゐる
ときおり
かすかな気配―
息づいてゐる
閑
ひろがつてゆく―気配
しずくの記憶
せせらぎのおと
通り過ぎた夏
―それは、
その次となり
その次の次となり、
その次の次の次となり
またその次の次の次の次となり―
そこで満ちて
そこで待って
そこで待ち続け
息づいている